私立神座学園の1年生、栖戸れいりは幼馴染の蒸賀りじゃの補習に付き合わされて帰りが遅くなってしまいました。
そしてその帰り道で怪物に襲われ、なぜか男のれいりは魔法少女に変身してしまいます。
戦いが終わると、りじゃが「見て~空飛ぶぬいぐるみ!」と何かを掴んで見せてきました。れいりは戦いが終わっても戻らない自分の姿にパニックになっていて、それどころではありません。
するとぬいぐるみがまばたきし、口を開きました。
「さすがだね。我が見込んだ魔法少女なだけある」
れいりはこの女体化騒動の元凶が目の前のぬいぐるみであることを確信し詰め寄ります。しかしぬいぐるみはへらへらと笑うのみで、れいりは近くの田んぼへぬいぐるみを投げようとしました。ここでようやく慌てたぬいぐるみが説明を始めます。
「この神座町にプリンセスの生まれ変わりがいるんだけど、その子が持っている『原初の雫』を回収してほしいんだ」
意味がわかりません。そしてぬいぐるみは続けます。
「それを狙う怪物──ウツロンダーがこの町に現れては、人々の『心の雫』を無差別に奪おうとしているんだ。貴様達にはそれとも戦ってほしい」
れいりは沈黙の後、ぬいぐるみの頭を掴んで叫びました。
「いや、ならなんで魔法少女なんすか!男のままどうにかならなかったんすか!?」
「男の方が筋肉あるからだよ。はい論破」
「じゃあなおさら男のままがいいじゃないっすか!あと早く元の姿に戻すっす!」
「その胸元のリボンにジュエルついてるでしょ?それに手をかざして戻ろうと思えば戻れるよ」
言われた通りにしてみれば、たちまちれいりは元の姿へ戻りました。
「変身するときはこのパクトにジュエルセットして『ブルーミングジュエル!』って叫んでね。りじゃにもあげるよ」
りじゃは何も疑わずに喜んでいます。れいりは諦めて従うことにしましたが、一つだけ気になっていました。
「あの、これ命に関わるんじゃ」
「我を呼ぶときはアルカエフルクトゥスって言ってくれればすぐ行くから。アルカでもいいよ」
れいりの質問に答えずにアルカは消えました。
アルカ──それは二人の通う私立神座学園の生徒会長、世創あるかと同じ名前でした。